21世紀は共生の時代です。人間同士が各自の個性を出し合い、相互に認め合い、助け合う共同生活を営むことこそ、これからの人間の在り方であることが、20世紀までの歴史の反省として、明らかになってきました。
人間と自然との共生関係も、今や不可欠とされています。人々は自然の生命に眼を向け始めました。自然は征服し、利用し、破壊するべきものではなく、畏敬 と尊重の対象とみなされるようになってきたのです。したがって私たちは、自然の神秘に感動し、その恵みに感謝しつつ、人間と自然との間に支え、支えられる 関係を築かなければなりません。
これらの共生の営みにとって、もっとも必要なのは、心の優しさと豊かさです。その基本にある思いやりの心と自然尊重の精神は、いずれも自分本位の立場を捨て、相手の立場に立って考える態度からはじまります。
このことをもっとも強調していたのが、ピアジェでした。ピアジェは、子どもが環境との相互作用の中で発達するという事実に着目して、身近な物や人に能動 的に関わることの大切さを説きました。そういう活動を通して、子どもは物や人についての認識を深めていくと同時に愛着を感じて、それらの立場から考えるこ とができるようになるからです。共同作業にもとづく活動主義教育の意義を、ピアジェが重視したのも、そのためです。この教育理念は、21世紀にはますます 重みを増していくことでしょう。
子どもがまわりの人たちとの温かい交流の中で心を通わせ合いつつ、相互に強い絆と信頼感で結ばれていく時、子ども一人ひとりの持ち味が、生き生きと発揮されることとなります。また、それによって、豊かな心情、想像力、思考力も花咲き、実を結んでいきます。
これらの教育理念を実現するにあたって、私たちは、とりわけ次の教育実践に向けて鋭意努力したいと思います。
私たち教育者は子どもの持っている本来の力を信じ、子どもの眼の高さでものを見つつ、子どもの自発的、主体的な活動を援助するよう、全力をあげて取り組むことを、いまここに誓い、JAPE21世紀宣言といたします。
2001年3月26日
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